色は人を操れるのか?2 他者の受け取るイメージ


前回:色はどの程度、人を操れるのか?1 セルフイメージ

前回は色を身に着けてセルフイメージを印象付ける場合でしたが、今回はそれを見た相手の印象です。色を見せられて、どう色を判断するか。

 色を見た相手側が受ける色の印象は?


これは昔実験をしたことがありますが、色を見た時はまず当人が思う色の印象が優先され、続いて一般的な色のイメージが意識されます。けれど相手に好意を持つ場合は、それが最優先され、苦手な場合も同様、となっていました。

具体的にピンクが苦手な場合で言いますと、相手が身に着けているのを見た時には、まず「うわピンクだ」と苦手意識を持つものの、「一般的には可愛い色だな」と客観的な認識も持っている。加えて身に着けている相手に好意を持っている場合は好意的に受け止めようとしますし、苦手な相手の場合は当人の苦手意識に拍車をかけます。

好きな相手・嫌いな相手が身に着けている>自分のイメージ>一般的なイメージ

色の印象の度合いではこうなりますが、並べてみると、まず好意や主観ありきで、一般的な色のイメージはその次になり、色で相手の心は操れないのでは?となります。つまり、ピンクを纏って可愛らしいと思わせようとしても、まず相手がその人を可愛いと思っているか否かで評価が別れるからです。

ですがこれも前回のセルフイメージ同様に、身近になって何度も会えば他の情報からも相手を判断することになりますので、覆すことは可能です。

つまり好意を持たせれば「君が着ているその服の色も可愛い色に見える」となるわけです。反対の例も勿論あります。好きな色だったけど、「苦手なあいつがいつも着ているから嫌になった」というパターン。

色で相手を操る場合は、まず相手に好意なり苦手意識を持たせると、引き摺られてその色のイメージも変えられる。(好意や敵意など)相手への感情>色ということでしょうか。

 えー、でもそれだと色で相手の心は操れないの?


好かれ(嫌われ)ないと色のイメージを変えられないのなら、可愛く見せようと可愛い色を身に着けても意味がないの?ということになってしまいますが、色の送る信号は相手の心にじわじわ響きます。

そもそもの個人的な色の好き・嫌い自体が、一般的なイメージを元にして+独自の感情と結びついていることが多いので、一般的なイメージ自体とは切り離せません。

ピンクが苦手な場合は、男性の場合は女っぽい色だから、女性の場合は女っぽさや恋愛を前面に出しているから、などと、その色の印象を苦手としていることが多いというわけです。つまりピンク自体の一般的なイメージを意識しているからこそ、好き・嫌いとなる。(イメージとは別に具体的に嫌なことがあって苦手になるような例もたまにあります。)

ですので相手がピンクを着ているのを見たら、本人はその色を好き嫌いで意識すると同時に、相手にはピンクのイメージを投影しています。

自分が色に対して抱く印象と共に、「この子はピンクが好きなのだな」とそういうイメージを持つ。そのイメージ自体が、メッセージとなる。それが続くと、この子は「ピンクな子」、つまり「明るい」「女らしい」「可愛い」……といったように、相手への印象として刻まれる。

また「この子は自分の前ではピンクや可愛い格好をしているな」という印象が、もしかして自分に好意があるのかな――という、場合によっては勘違いな好意に繋がります。

反対の場合は、好きな人が寒色(突き放す色)を着ていた、「もしかして嫌われている?」とクヨクヨ悩む状態です。これも相手の発する色を意識して勘違いしてしまう例のひとつ。

赤い服を着ているから誘っている、なんて誤解も、色のイメージをいいように受け取った勘違いが好意に繋がる例でしょう。だから逆手にとってムードのある場では、ムードのある色を着たりするのが効果的となります。

誤解から始まったとしても相手の心に好意が生まれれば、色の個人的な好みよりもそちらが優先されるようになりますし、それでうまく行けば、色の個人的な好み自体も改善される、というプロセスを経ることになります。

色は相手の心のイメージに結びついているからこそ、逆に色のイメージを送り続けて印象を変える。これだと地道な作業が必要?と思われるでしょうが、実際の場ではゲンキンなもので、可愛い娘が着ていれば「ハッ」と色の印象に目を奪われる――なんて一瞬で操作することもできるわけです。

やっぱり相手への感情>色なんじゃないの!となりそうですが…、色の印象はまずそれを纏っている当人の印象と重なり、それが受け取る側に伝わるものですので、まずセルフイメージありきになってしまうわけです。そのため上の誤解の例のように、色で他人を操るならば、まずは色で相手への好意を示して、それが相手に受け入れられる、そんな二段階のステップが必要になります。




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