国によって色は見え方が変わる?


色好きから発展して宝石のルースが好きで(といっても持っているものは上の写真の通り、そう高くないものがほとんどです)ミネラルショーなどに行くのですが、そこで馴染みになった東南アジアのバイヤーさんが、同じ宝石でも国によって様々な理由で見え方が変わると教えてくれました。

ひとつめは、自分の国で見るルースと日本に持って帰って来た時の色が違う、ということ。現地で鮮やかな赤い石を仕入れたと喜んで日本に持ってきても何やら色味が違う。現地で言うルビーの赤のピジョンブラッドと日本で見る色は違うらしい。

ふたつめは、国・人種によって見える色が違うらしいということ。
同じ種類の宝石でも、アジアや日本人の目に映る赤と欧米人が見ている赤は違うらしい。(これは人種の差なので本人には違いは見比べられませんが)

みっつめは、文化や環境によって色が違って見えるらしいということ。
日本人は緑を青と表現するなど青の範囲が多かったりするけれど、そういう文化の差異で色のニュアンスが違うということ。また興味の有無によっても色の見え方は変わることもある。

 地域の違い:太陽光が通る大気の距離による見え方の違い

色によって波長は違い、寒色ほど短く拡散されやすい。暖色になるにつれ長くなる。空に近い方が空の色は濃い青。夕日が赤く見えるのも、昼間の太陽は真上にあるけれど、夕暮れは沈んで斜めになり距離が遠くなることによります。そして距離の分だけ波長の長い黄色や赤も散乱して目に届くことになります。

同じ理屈で、国や地域によっても太陽との距離が変わるため、色の見え方も変わります。特に赤と青は波長によって変化しやすいです。

参考→日本ペイント@光と熱の七色コラム「地域による色の見え方の違い」
極に近いほど自然光の青みが強調され、赤道に近いほど赤みが強調される。日本でも北日本は寒色系、南日本は暖色系が綺麗に見えるとのこと。

 人種の違い:目の色によるもの

白色人種の方が虹彩が薄く光を通しやすい、より光を眩しく感じやすいとされます。そのためサングラスが一般に(格好つけでなく)普及しているわけです。また室内でも海外は間接照明で充分だったりします。これもインテリアを優先して格好つけているわけではなく、彼らにとってはこの明るさで充分ということ。

実際に知っている範囲だと白色人種は、青い目に限らず茶色い目でも、日本人より眩しさを感じやすいように見受けられます。日本の照明は眩しすぎるという人の意見もありました。

いずれにしても彼らは日本人より光、眩しさ、青みに敏感らしく、それ故に受け取る色のニュアンスも変わります。ただこれは個人差もあり、主観の問題なので他人との比較が難しい部分も多いでしょう。

参考→SEED@見える雑学「外国人と目の色が違うのは、なぜ?」
メラニン色素の量が少ない白人は、虹彩の色が薄いため、黒目の日本人の2倍も光をまぶしく感じる、らしい。

 文化の違い:育った環境による色の扱いの違い

色彩とパーソナリティ(著)松岡武」によると、白い世界、雪の中で生活するイヌイットは白を示す名称が多様らしい。つまり日本人には、同じ「白」にしか見えないものが、彼らには「五色」の白系の色として目に映っている可能性もあるそうな。つまり環境、文化によって色の括りが違うというわけです。

赤い石マニアは、興味のない人からは「同じような石」と言われる石をグラデーションで集めていたりしますが、勿論当人には全く別の色に見えています。そういう「興味によって」も色の認識は変わります。
画像は赤とピンクも混じってますがスピネルという石です。朱色だったり青みを含んでいたり、ネオンカラーだったり(私的には)全部違う色です。隣には青の仲間たちも並んでいます…。

また国による文化の差異か上の目の見え方の違いか、上のバイヤーさんによると、赤の場合は日本人は青みを帯びた赤を好み、欧米人は温かみのあるオレンジを含んだ色を好むらしい。緑色の場合は日本人は濃い色を好むとか、アジアでも国によって傾向が違うそうです。

そういうわけでバイヤーさんは、個人差も考慮しつつ、おおまかには卸す国によって人気の色を使い分けているらしいです。

 [補足]性別による違い

2012/09/10追加ナショナル ジオグラフィック@男性と女性、物の見え方に違い

国や地域は関係ないですが、この記事によると男女では色の見え方にも違いがあるそうな。「果物のオレンジは、男性には女性より少し赤く見えている可能性がある。同様に、緑の草は、ほぼ常に女性のほうがより緑色に見え、男性には少し黄色がかって見えている可能性がある。」とのこと。




コメントは受け付けていません。