
2011/3/11東日本大震災に付随した福島第一原子力発電所事故は、国際原子力事象評価尺度でレベル7相当の評価を下された。いまだに福島の原発では作業が続いているし、風評被害も放射能の件も事件の責任追及も終わっていない。 でもそういった件は、もっと詳しいサイトもニュースも報道も山ほどあるので置いといて。今回調べたのは、原子力発電所と色にまつわること。

事故後にテレビでも新聞でもネットでも、福島やそれ以外の日本の原発、チェルノブイリやアメリカのスリーマイルや、あちこちの原発の画像を見る機会は増えたけれど、思い浮かべるのは何色だろうか。
大きな建物で、大体が無彩色、暗い色、錆びた金属の茶色、灰色のコンクリート、そんな映像が多かったように思う。調べたところ、原子力発電所の色の規定などはなかったので、このくらい重々しい色は機能優先の結果だろう。

「放射能には色がない。だからこそ怖い」は事故後にニュースでも聞いた言葉。言われる通りに色がないから、色のイメージは湧き難いかもしれない。
ただウラン鉱石から不純物を取り除いた「ウラン精鉱」が綺麗な黄色をしているようで、これは「イエローケーキ」と言われるそう。ここから放射性物質が黄色、のイメージがついたのか、去年今年のスギ花粉の黄色い粉が堆積したものを指して「放射能だ!」というデマ(?)が主にネットで広がったらしい。
他にも放射線マークが「背景を黄色に三つ葉を赤紫」というところからも、黄色のイメージが湧きやすかったのかもしれない。
デザインの意味や、色についてはこちらを参考→放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則(別表)放射能標識についての規定の中に色についても記載されている
それ以外では、謎の「黒い粉」の放射能濃度が高かったとか、こういう情報もネットで広まっている。
決まった色がない代わり、色々なものが放射性物質に見える(実際、人体に影響のある量か否かはともかくとして事故後の埃や花粉に含まれていたことは報道でも確か)ようで色は様々。嬉しい話ではないけれど、この先もピンクや白や色々出てくるかもしれない。


原子力発電所のある地域周辺の住民八〇八名、原子力に関する専門家五四五名を対象にして、「原子力平和利用」ということばと「原子力発電所」ということばからどんな色を思い浮かべるかを問うた(中略)

「原子力平和利用」に関しては、地域住民と専門家とが選んだ色の内容はほぼ同じようなものであった。しかし「原子力発電所」の場合、専門家は「原子力平和利用」とほぼ同じような色を選んでいるのに、地域住民では「赤」「灰」といった色が上位にあがってきて、専門家とは異なった反応をしていた。
田中らの研究によると、「赤」「灰」は、一貫した拒否反応を象徴する色であり、ついで「黄色」も同じ性質を持つ色であった。「原子力平和利用」に関しては、地域住民も専門家と同様に受容の気持ちをもっていたのに、こと「原子力発電所」になると、直接的な影響をうける地域住人民は、専門家とは異なった色で、拒否の本音を表明していたのである。
この調査の地域住民がどこの原発の地元だったのかは書かれていなかったけれど、福島の事故後、地元では元々助成金が出て誘致していたという話が出ていたのを思い出す。原発地域の地元住人は家族の誰かしらが原発に関する職についている割合が高いとか。
そういう地域だと表立って不満や反対意見は口に出せないだろうけど、経済面の恩恵と健康不安は別問題でもある。そんな場合この調査のような、色を答えてもらうというのは、遠回りでも本音が見えやすい調査方法かもしれない。
これは古い調査だけど、原発事故なんて起きるはずがないと信じていた事故前でこの結果ということは、事故後はもっとネガティブになっているはず。今調査したらどうなるだろう?(と言っても地元の住民は避難していてもういないのであった!)

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版@ピンク色の世界―福島第1原発の建物内部
2012/2/29の記事。東京電力福島第1原子力発電所内部はの壁や床が弾力性のあるピンク色のシートに覆われているという記事と写真。「Baker-Miller pink」より淡い色で、なぜピンク色なのかの答えは記事中でも返って来なかったで終わり。